2021年に配布した「ひらきけん通信 第10号」から、記事をピックアップして紹介します。


赤ちゃんはスイッチを使える?

私たちは、テレビのリモコンやライトのスイッチなどさまざまな道具を使っています。これらの道具を使うためには、スイッチを押した結果起きることが自分の行動によるものであると理解している必要があります。では、私たちはいつから、またどのようにしてそれらの因果関係を理解しているのでしょうか。そこで、5 か月児を対象に実験を行いました。実験では赤ちゃんに脳波計を装着し、センサー付きのデジタルおしゃぶりを使用してもらいました。そして、デジタルおしゃぶりを吸うと音と画像が出る条件と,おしゃぶりを吸うタイミングとは関係なく音と画像が出る条件を行ってもらいました。現在は結果を分析し、赤ちゃんが自分で出した刺激とそうでない刺激を見分けられるのかを脳波から調べようとしています。(FY)


認知科学×産前産後ケアに挑む!

妊娠中やお産、産後に受ける看護ケアは、赤ちゃんとママの安全を第一に考えて行われてきました。また最近では、お子さまを迎えるご家族のお声を生かしてケアの質を高めるため、対象となる方々にインタビューやアンケートをする調査がたくさんあります。私たちの専門分野である認知科学では、新生児から成人まで、脳波や姿勢など身体の内外の反応や働きを扱うことができます。そこでこれらを組み合わせ、より良いお産や育児ができるよう、赤ちゃんの発達過程の解明やケアの評価について検討したいと思います。(EH)


日本のマンガで英語学習!?

 開研究室では赤ちゃんだけでなく、高校生や大学生の学習を支援する研究も行なっています。たとえば、英語の学習を題材に、新しい学習アプリの開発と効果の測定を行なってきました。英語を学習するときは、英語の単語と日本語の単語の対応づけを学習するよりも、英語の単語と絵の関係を学習する方が良いという考え方があります。そこで私たちは、日本のマンガの英語翻訳版を使い絵を見ながら英単語の穴埋め問題を行う『Cloze Testアプリ』を開発し、高校生に使用してもらいました。ふつう、このような学習アプリは早くに飽きられてしまうことが多いのですが、今回開発したアプリでは、学習を長期間続けることができ、また長期にわたって使用している学習者では英語の試験の成績向上もみられました。(SY)


正解のない問題にチームで取り組むときに大切なことは?

世の中には正解が1 つではない問いがたくさんあります。そのような問いに子ども達はどのように取り組んでいるのでしょうか。今回私たちは高校生の方々に協力いただき、正解のない問題にチームで取り組んでいるときの脳活動をNIRS という装置を使って計測しました。すると、問題に取り組んでいるときのチーム内での脳活動が似ていない(同期していない)ほど、チームとして面白い回答を作ったと評価される傾向が見られました。正解のない問題にチームで取り組み、そこから面白い回答を生みだすためには、参加する人たちの脳活動にも多様性が必要なのかもしれません。(RM)


Web会議で「顔出し」は必要?

在宅ワークの普及によりZOOMやWebexのようなWeb会議アプリを使う機会が増えました。そこで話題になるのは、カメラをONにして顔を映すかどうかという「顔出し」の問題です。「目は口ほどに物を言う」といった慣用句があるように、顔表情には相手の気持ちを読み取るための「手掛かり」が含まれています。では、Web会議アプリ上の小さな顔画像にはどの程度「手掛かり」が含まれているのでしょうか? そこで私たちは、機械学習やAIの技術を使って「顔出し」の必要性を調べています。Web会議ではどれくらい手掛かりが読み取られ、どの程度見逃されているか調べることで、「Zoom疲れ」のようなストレスを軽減させる技術の開発を目指しています。(HY)


ひらき研究室では他にも沢山の研究を行っています.よろしければこちらのページもご覧ください.