2017年に配布した「ひらきけん通信 第7号」から、記事をピックアップして紹介します。


赤ちゃんは正義の味方が好き?

赤ちゃんは正義の味方が好き?

いじめられている人を助ける行動は、一般的には「正義」の行動として捉えられます。そして子どもだけでなく大人も、こうした正義の行動を行う正義の味方が大好きです。では
われわれ人間はいつ頃から正義の味方を好きになるのでしょうか?

わたしたちは、いじめっこ、いじめられっこ、そのいじめを止める正義の味方、そのいじめを止めない傍観者といったキャラクターが登場するアニメーションを作成し、正義の味方と傍観者に対する赤ちゃんの反応を調べました。すると、赤ちゃんが正義の味方を好むということがわかりました。また、他の複数の調査結果kら、赤ちゃんがいじめを止めるキャラクターを正義の味方として認識していることも確認されています。私たちの心には、「強きを挫き弱きを助ける」という正義の感覚が刻み込まれているのかもしれません。(YK)

※この研究は京都大学、京都府立医大との共同研究で、論文は英国の学術誌ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビアに掲載されました。またNHKや朝日新聞など様々なメディアで取り上げられました。


子どもの反応のタイミングによってお母さんの身体の動きは大袈裟になる?

お母さんは(場合によってはお父さんも)赤ちゃんと接するとき、「モーショニーズ」と呼ばれる特別な身体の動きを行うことが知られています。モーショニーズは大人に向けた通常の動作よりもゆっくりとしていて単純で、身振りが大袈裟になるなどの特徴を持っています。

お母さんはどのようにして、このモーショニーズを身に付けたのでしょうか。それとも、赤ちゃんを見れば誰もがすぐにできる動きなのでしょうか。それとも、赤ちゃんとのやり取りの中で獲得されるものなのでしょうか。この疑問を解決するため、私たちはお母さんと子どものやり取りのタイミングに着目して、テレビ電話のような装置を使用して研究を行いました。お母さんは、テレビを通して自分の子どもと遊びます。そのときに、子どもの映像に数秒の遅延を入れました。すなわち、お母さんは通常よりも反応が遅い子どもを見ることになります。そして、映像に遅延のある場合(遅延条件)と映像の遅延の無い場合(ライブ条件)の間で、子どもと遊んでいるときのお母さんの身体の動きを比較しました。

その結果、遅延条件でお母さんの身体の動きは誇張されていることが明らかになりました。つまり、お母さんは、自分の子どもの反応のタイミングに基づいて、身体の動きを変化させているようです。(EY)

子どもの反応のタイミングによってお母さんの身体の動きは大袈裟になる?


あなた専用の勉強プランをご提供!

学習アプリとバンド型活動量計

学校の勉強では、漢字や英単語を覚えたり、計算したりと、さまざまな形での脳の使い方を要求されます。うまく脳の実力を発揮させるには、ただいっしょうめんめい使うだけでなく、睡眠をとったり、身体を動かしたりすることも組み合わせる必要があることが多くの実験によってわかっています。

では、いったいいつ、どのくらいの量の勉強をすれば、最大の効果を得ることができるのでしょう?

わたしたちは、実際に高校生の方々に協力いただき、日々の勉強や睡眠、運動の記録を、アプリやバンド型活動量計を使って詳細に対応づけていくことで、個人ごとに最適な勉強プランをどのようにすれば作ることができるかを追求しています。(SY)


赤ちゃんは普段何を感じてる?

赤ちゃんは普段何を感じてる?

赤ちゃんは声や表情を使ってお母さんとコミュニケーションを取ろうとします。赤ちゃんからシグナルを受け取ったお母さんは、微笑みかけたり指差したりする反応を赤ちゃんに返します。

この時、赤ちゃんは何を見て、何を感じているのでしょうか。

私たちは様々な赤ちゃん用の計測装置、例えば、心電計、小型カメラ、マイク、体温を測るサーモグラフィーを駆使して、赤ちゃんが日々見たり聞いたり感じていることを記録し分析する研究を進めています。(KY,HF,HY)


赤ちゃんがおしゃぶりでパソコンを操作する!?

赤ちゃんがおしゃぶりでパソコンを操作する!?

赤ちゃんは手足を思うように動かせないため、パソコンの操作のようなことができません。そこで、赤ちゃんでも上手な「おしゃぶり」行動によって、パソコンの中の画像を操作できるかどうかを調べました。

おしゃぶりの様子を測定できる「おしゃぶりセンサ」を使用して、左図のような実験をしました。画面には、床、中央に壁、左右にボールがあり、強くおしゃぶりをすると壁が低くなり、黄色いボールは上を飛び越せます。逆におしゃぶりしないと壁が高くなって飛び越せません。実験の結果、おしゃぶりによって「壁を低くし、飛び越えさせる」という操作ができるとわかりました。

乳児がおしゃぶりで画像を操作できることは、保護者とのコミュニケーションなどにも応用できると考えています。(SY)


親に応援されると子どもの見える世界が変わる?

親に応援されると子どもの見える世界が変わる?

子どもは正解・不正解をどのように脳で処理するのでしょうか?右図のような動物を探すゲームを5歳のお子様に行っていただいた結果、1人でゲームをするときよりも、ご両親に応援されながらゲームをしたときの方が、正解と不正解を脳でしっかり処理することがわかりました。今後は、親や友達の成功や失敗からお子様がどのように学ぶのか研究していきたいと考えています。(TK)


ひらき研究室では他にも沢山の研究を行っています.よろしければこちらのページもご覧ください.