2011年に配布した「ひらきけん通信 第1号」から、記事をピックアップして紹介します。
赤ちゃんも他人の顔色をうかがう?
私たちの研究室では、1歳頃の赤ちゃんが他人の表情や視線にどのように反応するのかについて、赤ちゃんが画面のどこを見ていたのかがわかる装置(視線計測器)を使って調べています。これまでの調査結果から、知らない人が怖がった表情で見ていたモノを見るまでの時間は、普通の表情で見ていたモノを見るまでの時間と比べて長くなることがわかりました。つまり、他人が怖がっていたモノにはあまり積極的に目を向けなかったのです。赤ちゃんも他人の顔色をうかがいながら自分の行動を決めているのかもしれません。(RM)
フラッシュカードで脳が活性化?
「フラッシュカードトレーニング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。フラッシュカードトレーニングとは、カードを素早くめくり、そのカードに書かれた内容を覚えたり順番を記憶したりすることで、脳が活性化されることをうたったトレーニング法のことです。この「素早く」カードを見せることには、脳機能全般を向上させる特別な効果があるのでしょうか。それを探るため、大学生に「素早く」提示される数桁の数字を覚え、答えてもらうトレーニング(フラッシュ順唱課題)を3週間に渡って続けてもらいました。そして3週間後、彼らが記憶できる数字の桁数はトレーニング前と比べて 増えましたが、トレーニングで行っていない別の課題の成績については変化 が見られませんでした。つまり、「素早く」見せることによる能力の向上は、トレーニング中に行った課題に限られていたことになります。今後もこのフラッシュカードトレーニングの効果について、さらに検討していく予定です。(KH)
暴力的なゲームが使用者の攻撃性に与える影響
暴力的な内容を含んだテレビゲームで遊ぶと、攻撃的な性格になってしまうのではないかという懸念が国内外で指摘されています。この問題について、これまでにも多くの研究が行われていますが、それらのほとんどはゲームを遊んだ直後などの短期的な影響について調べたものでした。そこで私たちの研究室では、大学生を対象として、暴力的なゲームが使用者の攻撃性に与える長期的な影響について調査を行いました。その結果、暴力的なゲームで遊ぶのをやめてから1週間ほどは攻撃性の増加が見られましたが、3ヶ月後にはゲームで遊ぶ前の水準に戻っていました。この結果から、暴力的なテレビゲームが使用者の攻撃性に与える影響は一時的なものであり、何ヶ月も続くもの ではない可能性が示されました。(YT)
ひらき研究室では他にも沢山の研究を行っています.よろしければこちらのページもご覧ください.