2018年に配布した「ひらきけん通信 第8号」から、記事をピックアップして紹介します。


赤ちゃんと一緒に絵本を作りました!

図1「もいもい」の結果
図1「もいもい」の結果

本屋に行くと絵本がたくさん売られています。この本もいいな、こちらの本もいいな、と迷ってしまいますが、本当に赤ちゃんが好きな絵本とはどんなものでしょうか。色が鮮やかなもの?コントラストがはっきりしているもの?丸みをおびたキャラクタがでてくるもの?実ははっきりとはわかっていません。そこで私たちは、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン様と協力して、赤ちゃん視点を取りいれた絵本づくりにチャレンジしました。

調査には、生後8~13ヶ月の赤ちゃんとその保護者の方々、35組に協力していただきました。絵本は「ことば」と「イラスト」の両方を楽しむものなので、描いていただいたキャラクタを赤ちゃんに見せながら「もいもい」と「うるしー」という言葉を聞いてもらい、赤ちゃんがどのイラストに一番注目していたかを、視線計測器という装置を使って調べました。また保護者の方にも、「もいもい」や「うるしー」という名前に一番合うキャラクタはどれだと思うか、回答してもらいました。

調査には、生後8~13ヶ月の赤ちゃんとその保護者の方々、35組に協力していただきました。絵本は「ことば」と「イラスト」の両方を楽しむものなので、描いていただいたキャラクタを赤ちゃんに見せながら「もいもい」と「うるしー」という言葉を聞いてもらい、赤ちゃんがどのイラストに一番注目していたかを、視線計測器という装置を使って調べました。また保護者の方にも、「もいもい」や「うるしー」という名前に一番合うキャラクタはどれだと思うか、回答してもらいました。

図2「うるしー」の結果
図2「うるしー」の結果

その結果、赤ちゃんと大人では選択の傾向に違いがみられました。まず「もいもい」については、音の響きに関係なく、赤ちゃんがとにかくよく見ていたキャラクタがありました(図1左から3番目、保護者人気は低め)。また、「もいもい」という音の響きによって、赤ちゃんの注目度が上がったキャラクタもありました(図1左から2番目、保護者にも人気)。「うるしー」についても、「うるしー」という音の響きによって赤ちゃんがより注目するようになったキャラクタがありました(図2左から1番目、保護者人気が高かったのは左から2番目)。

この結果を元に、赤ちゃん目線を取り入れた絵本が出来あがりました。もし書店などで見かける機会がありましたら、お手にとってみていただけたら嬉しいです。(RM)


赤ちゃんがおしゃぶりで正義の味方になる!?

赤ちゃんがおしゃぶりで正義の味方になる!?

開研究室では、赤ちゃんのおしゃぶりの様子を測定できる「デジタルおしゃぶり」を開発し実験を行ってきました。生後7ヶ月程度の赤ちゃんでも、デジタルおしゃぶりの吸い方を自ら変化させることで、その吸い方によってパソコンの中の画像を操作できるということがわかっています。

現在はその知見を発展させ、コンピュータ画面上に表示されたキャラクタをデジタルおしゃぶりによって操作し、他のキャラクタを守ったり、攻撃したりといった社会的な行動を行うか確かめるための実験を行っています。この実験によって、赤ちゃんが「キャラクタを守る」という正義の振る舞いを示すのかを明らかにしたいと考えています。(SY)


勉強はいつやるのが効果的??

勉強はいつやるのが効果的??

学校では多くの場合、朝から授業が始まり、夕方に終わります。学校の勉強では、用語を覚える、計算するなどさまざまな形で脳を使います。認知科学の分野では、脳を効率的に使う方法がさまざまな実験によって調べられています。例えば、効率的にものを覚えるためには睡眠前に勉強をするとよい、勉強のあと身体を動かしたりするとよい、などと言われています。

では、具体的に、あなたのお子さんの場合は、いったいいつ、どのくらいの量の勉強をすれば、最大の効果を得ることができるのでしょう?わたしたちは、実際に高校生の方々に協力いただき、スマホなどのIT技術を駆使して日々の勉強や睡眠、運動を記録し、成績との関係を調査しています。この調査を元に個人ごとに最適な勉強プランを作ることを目標にしています。(SY)


子どもに伝わりやすい教え方とは?

お母さんの手首の動きの計測風景
お母さんの手首の動きの計測風景
モーションキャプチャという装置を使います

子どもの動作の学習が促進される要因として「対乳児動作」と呼ばれる動作があります。この対乳児動作はお母さんやお父さんが子どもにある動作を教えるとき、大人に向けた動作と比べて、動作が大きくなったり、動作に強弱が付いたりする特徴を持っています。それでは、もしお母さんが教えたおもちゃの遊び方を子どもができなかったとき、この対乳児動作はどう変化しているのでしょうか?

この疑問を解決するため、おもちゃの遊び方を子どもに教えるときのお母さんの手首の動きを計測しました。その結果、子どもがある操作ができなかった場合はお母さんは手首の速度を速くして教え直していることがわかりました。これまでの研究によると、対乳児動作は子どもにわかりやすく動作の特徴を伝える働きを持つと言われています。このことから、お母さんは子どもができなかった操作に応じて伝わりやすい教え方をしているのかもしれません。(KN)


ひらき研究室では他にも沢山の研究を行っています.よろしければこちらのページもご覧ください.